胸椎後縦靭帯骨化症に対する術中脊髄モニタリング

Efficacy of Br（E）-MsEP for Surgery with Thoracic Ossification of the Posterior Longitudinal Ligament

はじめに

　後縦靭帯骨化症（ossification of the posterior longitudinal ligament：OPLL），特に胸椎OPLLは，前弯位を呈する頸椎部，腰椎部と比べ症状進行が重篤で，治療に難渋する．胸椎OPLLは保存治療で48.7％の患者が症状の増悪を認めたとする報告があることから^10），観血的治療が選択されることが多い．一方で術後麻痺率は高く，患者の生活の質を大きく損なうことが多いため，より安全な治療方針の早期確立が望まれる．過去に本疾患手術の神経合併症発生率は24〜33％と報告され^8,9,11），近年Imagamaら^1）が行った多施設前向き研究でも，発生率は32.2％と高率であった．本稿では，術後麻痺増悪例が多いとされる胸椎OPLLに関して，神経合併症を予防するための脊髄モニタリングの概要と知見について概説する．