Japanese
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特集 椎間板の基礎と臨床
ヒトリコンビナントMMP-7を用いた腰椎椎間板ヘルニアに対する椎間板内治療
Intradiscal Treatment for Lumbar Disc Herniation Using rhMMP-7
波呂 浩孝
1
Hirotaka HARO
1
1山梨大学大学院総合研究部整形外科学講座
1Department of Orthopaedic Surgery, Graduate School of Medical Science, University of Yamanashi
キーワード:
腰椎椎間板ヘルニア
,
lumbar disc herniation
,
椎間板内治療
,
intradiscal treatment
,
ヒトリコンビナントMMP-7
,
recombinant human MMP-7
Keyword:
腰椎椎間板ヘルニア
,
lumbar disc herniation
,
椎間板内治療
,
intradiscal treatment
,
ヒトリコンビナントMMP-7
,
recombinant human MMP-7
pp.43-45
発行日 2023年4月17日
Published Date 2023/4/17
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202010
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はじめに
日本整形外科学会と日本脊椎脊髄病学会が監修して,2021年5月1日に第3版腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドラインが発刊された2).腰椎椎間板ヘルニアは人口の約1%が罹患する高頻度の疾患であり,男性が女性よりも2〜3倍多く発症し,好発年齢は20〜40歳代であり,L4/5およびL5/Sの腰椎椎間に好発する.症状は,片側性に臀部から下肢への放散痛と腰痛がみられる神経根症と,両側の下肢の脱力やしびれがみられる馬尾症がある.発生に影響を与える因子はパイロットや医療従事者などの職業,喫煙,脂質代謝異常などの報告がある.また,腰椎椎間板ヘルニアの疾患感受性遺伝子が同定され,遺伝的背景の関与がある.診断には発症までの問診,身体所見や神経学的所見の評価,MRIを中心とした画像診断を行い,総合的な評価を行う必要である.症候性の腰椎椎間板ヘルニアは,60%以上の症例で画像上で退縮変化がみられ,症状が改善する.このため,治療は保存療法が基本である.消炎鎮痛剤などの投薬,コルセットによる局所安静,温熱療法や骨盤牽引,選択的神経根ブロックが行われる.しかし,ガイドラインでは行うことを強く推奨する保存療法はなかった.保存療法後に手術が選択されるのは20〜50%程度である.保存療法無効例や重篤,進行性の運動麻痺,馬尾障害が出現した場合には,手術治療を考慮する.
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