Japanese
English
特集 椎間板の基礎と臨床
椎間板変性に対するPRP療法
Platelet-rich Plasma(PRP) for the Treatment of Intervertebral Disc Degeneration
川口 航希
1
,
明田 浩司
1
Koki KAWAGUCHI
1
,
Koji AKEDA
1
1三重大学大学院医学系研究科運動器外科学
1Department of Orthopaedic Surgery, Graduate School of Medicine, Mie University
キーワード:
椎間板変性
,
disc degeneration
,
多血小板血漿
,
platelet-rich plasma
,
椎間板性疼痛
,
discogenic low back pain
Keyword:
椎間板変性
,
disc degeneration
,
多血小板血漿
,
platelet-rich plasma
,
椎間板性疼痛
,
discogenic low back pain
pp.29-34
発行日 2023年4月17日
Published Date 2023/4/17
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202007
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はじめに
椎間板は,椎体間に介在し,脊椎の可動性(前屈,後屈,左右側屈,回旋),衝撃緩衝性において重要な働きをしている.一方,椎間板は人体最大の無血管組織であり,椎間板の組織再生能は著しく乏しく,このことがさまざまな脊椎変性疾患の病態に関与する.椎間板変性は加齢とともに進行することが知られており,50歳以上の中高年においては90%以上に椎間板変性を認めるとの報告がある20).組織変性の進行時期や程度により,腰痛をはじめとしたさまざまな変性疾患が発症する.変性したヒト椎間板組織内では炎症を中心とした微小環境の変化が椎間板組織の変性を促進すると考えられている.したがって,変性椎間板内の微小環境(炎症環境)を改善させること,さらには椎間板自体の組織修復能を高めることが椎間板変性に対する治療において重要な点となる.
多血小板血漿(platelet-rich plasma:PRP)は,多種の生体活性タンパク質を高濃度に含んでおり,再生医療分野にて臨床応用されている.われわれは活性化PRPから抽出したPRP上清を椎間板内治療に応用してきた.本稿では,慢性腰痛患者(椎間板性疼痛患者)に対して当科で行ってきたPRP上清注入療法の実際について述べる.
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