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特集 実況! 私の診察室
POEMS症候群
Tips for Diagnosis of POEMS Syndrome
水地 智基
1
,
三澤 園子
1
Tomoki SUICHI
1
,
Sonoko MISAWA
1
1千葉大学大学院医学研究院脳神経内科学
1Department of Neurology, Graduate School of Medicine, Chiba University
キーワード:
POEMS症候群
,
POEMS syndrome
,
脱髄性多発ニューロパチー
,
demyelinating polyneuropathy
,
血管内皮増殖因子
,
vascular endothelial growth factor
,
VEGF
Keyword:
POEMS症候群
,
POEMS syndrome
,
脱髄性多発ニューロパチー
,
demyelinating polyneuropathy
,
血管内皮増殖因子
,
vascular endothelial growth factor
,
VEGF
pp.263-269
発行日 2022年8月31日
Published Date 2022/8/31
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201835
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はじめに
POEMS症候群は,形質細胞のモノクローナルな増殖を基盤として,血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)の過剰産生が多彩な全身症状を惹起する希少疾患である2).POEMSの名は,主要症状であるPolyneuropathy(多発ニューロパチー),Organomegaly(臓器腫大),Endocrinopathy(内分泌異常),M-protein(M蛋白血症),Skin change(皮膚症状)の頭文字に由来するが,その他にも浮腫,胸腹水,骨硬化性病変などを呈する.本症候群患者の約半数は多発ニューロパチーで発症し,残りの半数は浮腫,胸腹水,皮膚症状,男性の場合には女性化乳房での発症があり,初診する診療科は多岐にわたる.
従来,本症候群に対しては副腎皮質ステロイド,メルファランなどのアルキル化薬による治療が行われ,平均生存期間は数年の予後不良な疾患であった5).しかし,2000年以降,骨髄腫の治療が本症候群へ応用されるようになった.自己末梢血幹細胞移植を伴う大量化学療法,サリドマイドをはじめとする新規治療薬などにより,その生命予後・機能予後は飛躍的に改善している7).よって,本症候群は「見逃してはならない治療可能な疾患」である.進行に伴い複数の症状が出現する前に早期診断するには,本症候群を念頭に置いた体系的診察を行う必要がある.本稿では,前半でPOEMS症候群の診断に必要な知識を整理し,後半で症例を提示しながら診断のポイントについて解説する.
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