頸部神経根症に対するanterior cervical foraminotomy

Anterior Cervical Foraminotomy for Cervical Radiculopathy

はじめに

　頸部神経根症は自然軽快することも多く，日本脊髄外科学会より発刊されている「頸椎神経根症の外科治療に関する指針」でも，外科治療に優先し内科治療を行うことが勧められている^18）．ブロックやパルス療法などを含む保存的加療に関しての詳細は他項に譲るが，それらに抵抗するもの，日常生活に著しい支障をきたすものなどには外科治療が選択されることも少なくない．

　しかし，一言に頸部神経根症に対する外科治療といっても，その選択肢はさまざまである．その中でSmith-Robinson氏法やCloward氏法に代表されるような頸椎前方除圧固定術（anterior cervical discectomy and fusion：ACDF）は広く確立された術式となっているが，固定に伴う隣接椎間障害^7）や，インプラントの脱転・破損，長期経過での咽頭喉頭損傷^15）などいくつかの課題が報告されている．

　その他の選択肢としてはposterior foraminotomy（経皮的内視鏡を含む）や，近年使用可能になった頸椎人工椎間板置換術などさまざまな手術バリエーションが報告されてきている．本稿では，それらの中でanterior cervical foraminotomy（ACF）に関して論述する．

　この術式は通常のACDFのアプローチを用いて頸椎に到達し，可能な限り支持要素を温存したまま，頸椎前方の圧迫要素を摘出することで固定を行わない術式である．