Japanese
English
特集 頸椎神経根症再考
頸椎神経根症をきたす病態
Pathological Conditions that Cause Cervical Radiculopathy
千葉 泰弘
1
,
小柳 泉
1
,
今村 博幸
1
,
阿部 弘
1
Yasuhiro CHIBA
1
,
Izumi KOYANAGI
1
,
Hiroyuki IMAMURA
1
,
Hiroshi ABE
1
1北海道脳神経外科記念病院脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Hokkaido Neurosurgical Memorial Hospital
キーワード:
頸椎神経根症
,
cervical radiculopathy
,
病態
,
pathological condition
,
手術
,
surgery
Keyword:
頸椎神経根症
,
cervical radiculopathy
,
病態
,
pathological condition
,
手術
,
surgery
pp.941-947
発行日 2024年12月25日
Published Date 2024/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202441
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
高齢化社会において頸椎症は増加の一途にあるが,必然的に頸椎神経根症も増えることに疑問をもつことはないであろう.昨今の画像診断の進歩や疾患に対する認識・関心が増えたことで,頸椎神経根症は決してまれな疾患ではなくなった.また,外科治療の発展によって良好な治療経過を辿る症例を多く経験するようになり,より見逃せない疾患となった.
頸椎神経根症の多くは保存治療での改善が期待されるが,病態によっては治療に抵抗を示す場合もある.そのような症例は強い症状を呈しているものも多く,外科治療が考慮される.外科治療は除圧術と固定術に大別される.除圧術は繊細な術操作が求められ,骨削除の程度によっては除圧不足や医原性不安定性が懸念される.一方で固定術はインプラント関連の合併症や隣接椎間障害などが問題となる.椎間孔は頸部の動きの影響を受けやすい構造となっており,狭窄部の除圧と椎間の安定化のバランスを考えた手術戦略が必要となる.
頸椎神経根症の治療は神経診察をもととする高位診断から始まる.また,外科治療の適応や戦略を考えるうえで,その病態を的確に把握することはとても重要となる.「頸椎神経根症再考」が本誌の題目であり,本稿では頸椎神経根症をきたす病態について,筆者が臨床で意識している少し細かなところも含めて述べることにする.
Copyright © 2024, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.