Japanese
English
特集 首下がり症候群
錐体外路疾患による首下がり症候群—その病態と分類,治療
Dropped Head Syndrome Associated with Extrapyramidal Diseases
渡辺 宏久
1,2
,
坪井 崇
2,3
,
勝野 雅央
2
,
祖父江 元
1,4
Hirohisa WATANABE
1,2
,
Takashi TSUBOI
2,3
,
Masahisa KATSUNO
2
,
Gen SOBUE
1,4
1名古屋大学脳とこころの研究センター
2名古屋大学大学院医学研究科神経内科学
3University of Florida Center for Movement Disorders & Neurorestoration
4名古屋大学医学系研究科
1Brain and Mind Research Center, Nagoya University
3University of Florida Center for Movement Disorders & Neurorestoration
キーワード:
首下がり症候群
,
dropped head syndrome
,
ジストニア
,
dystonia
,
ミオパチー
,
myopathy
Keyword:
首下がり症候群
,
dropped head syndrome
,
ジストニア
,
dystonia
,
ミオパチー
,
myopathy
pp.1042-1048
発行日 2018年12月25日
Published Date 2018/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201012
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はじめに
首下がり症候群は,体幹に比して頸部が異常に前屈した状態を呈する疾患群を指す15)(図1).髙橋28)は,「いくつかの基礎疾患に伴ってみられる症候としての首下がり」を首下がり症候群とした.首下がり症候群は,神経筋疾患が原因となる場合,神経変性疾患が原因となる場合,さらには脊椎・脊髄病変が原因となる場合に大別される(図1).
一方,“首下がり”は,神経学用語集改訂第3版において,「三浦謹之助が詳述した項部筋不全麻痺による首下がりを主徴とする病態.当初地方病〔Gerlier病〕とされたが諸原因による」との記載がある16).三浦の報告した「Kubisagari」で認めた頸部の前屈は,発作性,麻痺性,再発性で,しばしば家族性であるなど,現在,われわれが診療している首下がり症候群とは臨床像が大きく異なる15,28).このため,目崎15)は,その総説の中で,dropped headを首下がりと訳すことに対して異を唱えている.
この過度の頸部の前屈が,錐体外路疾患において注目されるようになったのは比較的最近であり8),用語についてもその成因をジストニアと考えたことに由来するdisproportionate anterocollisや,筋力低下と考えたことに由来するdropped head syndrome(首下がり症候群)が用いられてきた.本レビューでは,錐体外路疾患におけるdisproportionate anterocollis(antecollis)・首下がり症候群の病態,分類,治療について整理したい.
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