Japanese
English
特集 首下がり症候群
ALSおよび重症筋無力症による首下がり症候群—その病態と分類,治療
Dropped Head Syndrome in ALS and MG
千葉 隆司
1
,
北國 圭一
1
,
園生 雅弘
1
Takashi CHIBA
1
,
Keiichi HOKKOKU
1
,
Masahiro SONOO
1
1帝京大学医学部神経内科
1Department of Neurology, Teikyo University School of Medicine
キーワード:
首下がり症候群
,
dropped head syndrome
,
筋萎縮性側索硬化症
,
amyotrophic lateral sclerosis
,
ALS
,
重症筋無力症
,
myasthenia gravis
,
MG
Keyword:
首下がり症候群
,
dropped head syndrome
,
筋萎縮性側索硬化症
,
amyotrophic lateral sclerosis
,
ALS
,
重症筋無力症
,
myasthenia gravis
,
MG
pp.1049-1054
発行日 2018年12月25日
Published Date 2018/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201013
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はじめに
首下がり症候群(dropped head syndrome:DHS)とは,頸部伸筋の筋力低下に起因する症候群である.神経原性疾患,筋原性疾患,神経筋接合部疾患のいずれの疾患によっても起こり,筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS),筋炎,重症筋無力症(myasthenia gravis:MG)などが代表的な原因疾患である.原因の鑑別は,治療の選択にも関係するので重要である.また,原因が明らかでないDHSは,Katzら7)によりisolated neck extensor myopathy(INEM)といった概念も提唱されている.主要な鑑別疾患を表1に示す.
わが国での首下がりに関する最初の報告として,1894年三浦12)が,東北地方で首下がりという風土病を指摘している.首下がりは発作性,麻痺性,再発性であり,しばしば家族性で,複視や眼瞼下垂,嚥下障害,四肢の不全麻痺を伴うなどの随伴症状を認めた.
その後,しばらく注目されていなかったが,1986年にLangeら10)がfloppy head syndromeとして12例を報告している.その中で,MGやALS,筋炎,筋ジストロフィーが原因疾患として挙げられている.また,1992年にSuarezら16)がdropped head syndromeとして報告している.MGとDHSに関する報告はその後,散見されるが,ALSとDHSに関する報告は多くはない.本稿では,主にALSおよびMGによる首下がり症候群の病態と治療について述べる.
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