頸椎前方椎弓根スクリューを用いた頸椎前方除圧固定術

Procedures and Outcomes of Cervical Anterior Pedicle Screw Fixation for Anterior Cervical Corpectomy and Fusion

はじめに

　頸椎前方手術は，前方圧迫要素を直接除圧できる優れた手術である．頸椎椎間板切除・固定術や一部椎体切除を併用するいわゆるハイブリッド法で対処可能なことも多いが，頸椎後縦靭帯骨化症（ossification of the posterior longitudinal ligament：OPLL）などでは複数椎体に及ぶ頸椎前方椎体切除・固定術（anterior cervical corpectomy and fusion：ACCF）が望ましい症例も存在する．しかし，多椎体のACCFでは術後移植骨脱転が大きな問題であった^11,16,18）．

　われわれは2椎体以上の切除を要するACCFに対し，術後移植骨脱転防止を目的として前方椎弓根スクリュー（anterior pedicle screw：APS）刺入法を開発し臨床応用してきた^1〜10,14）．われわれのAPS刺入法は，開削した椎体の内側壁からガイドワイヤーを直接椎弓根に刺入するdirect pedicle insertion法（DPI法）^7）である．本法では比較的安全にAPSの刺入が可能である．移植骨は強力なアンカーである椎弓根に固定されるため術後脱転の可能性が低く，外固定の簡略化が可能となる．今回，APS刺入手技を詳述し，その留意点およびわれわれの臨床成績について述べる．