Japanese
English
特集 骨癒合の基礎と臨床
人工骨の現状
Current Knowledge of Artificial Bone Graft
曽雌 茂
1
,
茶薗 昌明
1
,
丸毛 啓史
1
Shigeru SOSHI
1
,
Masaaki CHAZONO
1
,
Keishi MARUMO
1
1東京慈恵会医科大学整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, The Jikei University School of Medicine
キーワード:
ハイドロキシアパタイト(hydroxyapatete)
,
βリン酸三カルシウム(β-tricalcium phosphate:β-TCP)
,
骨伝導(osteoconduction)
Keyword:
ハイドロキシアパタイト(hydroxyapatete)
,
βリン酸三カルシウム(β-tricalcium phosphate:β-TCP)
,
骨伝導(osteoconduction)
pp.647-652
発行日 2016年6月25日
Published Date 2016/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200406
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
脊椎・脊髄外科の治療では,脊椎固定術は避けて通れない主要な手術法の1つである.脊椎固定術に際しては,従来から行われている自家骨移植が安全で骨誘導能にも優れており,ゴールドスタンダードである.しかし,採骨に伴う手術侵襲の増加,採骨部の諸問題(疼痛,骨折,神経麻痺,血腫,感染など),採取できる形や量に制限があるなど,いくつかの短所も挙げられる.同種骨は骨誘導能があり,量的な制限もないため,応用範囲が広く,欧米では頻用されている.本邦でも徐々に広まりつつあるが,いまだ供給の環境が整備されていないため,限られた施設でしか利用されていないのが現状であろう.一方,人工骨は安全性が担保されており,入手がきわめて容易である.また,用途に応じてさまざまな種類〔βリン酸三カルシウム(β-TCP)orハイドロキシアパタイト(HAp),顆粒体orブロック体,多孔体or緻密体など〕を選択できるといった利点を有している.近年では,pedicle screwやcageなどimplantの進歩により,移植骨自体に求められる力学的強度や骨癒合に要する時間に対する要求は以前より余裕がもてるようになったため,人工骨がより使用しやすくなっている.今後,minimally invasive spine stabilization(MISt)やLLIF(OLIFやXLIFなど)などの低侵襲手術が盛んになるにつれ,人工骨の利用頻度も増えていくものと推察される.
Copyright © 2016, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.