Japanese
English
特集 骨癒合の基礎と臨床
骨代謝における細胞生物学
Cell Biology of Bone Metabolism
前田 和洋
1
,
曽雌 茂
1
,
丸毛 啓史
1
Kazuhiro MAEDA
1
,
Shigeru SOSHI
1
,
Keishi MARUMO
1
1東京慈恵会医科大学整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, The Jikei University School of Medicine
キーワード:
骨芽細胞(osteoblast)
,
破骨細胞(osteoclast)
,
骨細胞(osteocyte)
Keyword:
骨芽細胞(osteoblast)
,
破骨細胞(osteoclast)
,
骨細胞(osteocyte)
pp.604-611
発行日 2016年6月25日
Published Date 2016/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200399
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はじめに
200数個からなるヒトの骨は,水生動物が陸生動物へと進化を遂げた時期に,重力に拮抗し個体を支える支持組織として,またカルシウムの出納に関わる貯蔵庫としての機能を獲得した.長らく骨は運動器官やカルシウム代謝に関与するホルモン標的器官としてのみ認識されてきた.しかし,近年の分子生物学の発展とともに,骨自体がホルモンを産生し生体の恒常性の維持に寄与する内分泌器官としての側面や造血幹細胞の維持に関与し血球分化に寄与する造血器官としての側面など多彩な役割が明らかとなってきた7,17).骨は,常にリモデリングが営まれており,ヒトでは1年間で約10%の骨が入れ替わるといわれている21).リモデリングは,骨表面に存在する骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収,さらに骨の深部に埋め込まれた骨細胞の相互作用により制御されている.本稿では,骨の代謝に関わるこれらの細胞たちに焦点を当て,近年明らかとなりつつある新しい知見も含めて概説したい.
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