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はじめに—骨バンクとは
本邦の骨バンク設立は1953年の天児らが嚆矢とされ,その歴史は意外と古い.しかしその後,残念ながら欧米とは異なり,本邦における骨バンクが発展しているとはいいがたい.
1978年には北里大学の山本・糸満らにより本邦で初めて非生体ドナーから骨採取が行われた1)ものの,2000年になってやっと診療報酬の骨移植術に「自家骨以外」の項目が設定され,同種骨移植が法により認められた.これはあくまで手術手技料であり,同種骨の採取・処理・保存に関わる費用は算定できなかった.また,他施設からの依頼を受け供給(シッピング)した場合,その費用を請求することもできなかった.結局,同種骨摘出・処理・保存に関わる費用はバンクが負担せざるを得ない状況におかれていた.
1997年に臓器移植法が制定され,本邦においても脳死から一部の臓器移植が可能となった.しかし,本人の意思確認が必須であったため,ドナーの数はきわめて少なく,臓器移植を推進するのではなく禁止する法律であるといった揶揄を受けていた.
2010年に改正臓器移植法が制定され,7月に施行された.本人の意思確認が必須ではなくなり,家族の同意でドナーになることが可能となった.
脳死後の臓器提供者が増加するということは,骨を含めた組織提供者が全国各地に増えることを意味している.このような社会のニーズに応えるべく,すなわち全国で発生する可能性のある骨提供者の意思を尊重すべく,日本整形外科学会は全国に骨摘出チームを編成すべきである.
現状では,厚生労働省の委託を受け,日本組織移植学会は計9つの組織バンクを認定している.骨バンクとして認定されているのは北里大学病院骨バンク(神奈川県),熊本県骨バンク協会(熊本県)と東海骨バンク(愛知県)であるが,全国の同種骨供給ニーズをみた場合,バランスがとれていないことは明らかである.
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