特集 骨癒合の基礎と臨床
特集にあたって
谷 諭
1
1東京慈恵会医科大学脳神経外科
pp.603
発行日 2016年6月25日
Published Date 2016/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200398
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今から25年近く前の話ですが,St. Louisで,spine surgeryのトレーニングの一環として,当時出たばかりと思われる某社のケージを用いたPLIFが紹介されました.そのケージを手に取り,「これを椎間スペースに入れちゃうのか……」とちょっと戸惑いながら挿入したことを思い出します.当時,少なくとも日本の多くの神経外科医(整形外科医も)は手に取ったことがなかったものかと思います.入れるのは少々気を使うけれど,これまでよりも強力な初期固定が得られることは間違いないことは理解できました.しかし,その講義の最中に何回となく発せられたメッセージは,“bone is gold standard”でした.その強力な初期固定を得るためのごついケージを眺めているとき,そこに至るまでのPLFなどをはじめとする脊椎固定における骨癒合率を上げるための先達の整形外科の先生方のご苦労・アーカイブズを思い出しました.
それから日が経っても,脊椎外科の基本的エッセンスは変わることはありません.神経外科医の僕ではありますが,ここで言いたいことは,決してfusion surgeryの勧めということではなく,骨格系の再建を熟知せず脊椎手術を行うことは望ましいことではないということです.そのような意図から,あらためて総論的に脊椎外科における骨癒合の基礎と臨床という話題を企画した次第です.
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