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特集 脊椎外傷—捻挫から脊髄損傷まで
第2章 脊椎損傷の診断と治療
歯突起骨折—診断と治療
Diagnosis and Management of Odontoid Fractures
秋山 雅彦
1
,
谷 諭
2
Masahiko AKIYAMA
1
,
Satoshi TANI
2
1社会医療法人札幌禎心会病院脊椎・脊髄末梢神経センター
2東京慈恵会医科大学脳神経外科
1Spine Center, Division of Neurosurgerty, Sapporo Teishinkai Hospital
キーワード:
歯突起骨折(odontoid fractures)
,
診断(diagnosis)
,
治療(management)
Keyword:
歯突起骨折(odontoid fractures)
,
診断(diagnosis)
,
治療(management)
pp.317-324
発行日 2016年4月25日
Published Date 2016/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200346
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はじめに
頸椎骨折は鈍的頭頸部外傷の2〜6%に発生するといわれており,決してまれではない5,35).受傷機転も交通事故や高所からの転落などの高エネルギー外傷だけではなく,自宅・道路・階段での転倒のように受傷エネルギーが一見低いと思われるような外傷でも発生している.全頸椎骨折の中で最も頻度が高く約20%程度を占める軸椎骨折の中で7),その半分以上が歯突起骨折とされている1,15).特に65歳以上では頸椎骨折の中で歯突起骨折が最も多く,さらに80歳以上の高齢者の頸椎骨折のほとんどが歯突起骨折であるといわれている36).
歯突起骨折の診断・治療は,環椎・軸椎およびその周辺の解剖学的複雑さと環軸関節・上位頸髄機能・椎骨動脈や静脈叢の存在などから議論の多いところでもあり,実際の臨床現場では判断に迷うことも少なくない.さらに,最近増加傾向にある高齢者歯突起骨折に対する治療は,全身合併症や骨質の悪さなどの要因もあり治療方針の決定をいっそう困難なものにしている.本稿では,歯突起骨折の診断・治療に関して文献レビューおよびわれわれの行っている診断・治療の工夫なども紹介する.
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