Japanese
English
特集 脊髄血管障害—最新の診断と治療
脊髄硬膜外血腫の診断と治療
Diagnosis and Treatment of Spinal Epidural Hematoma
野地 雅人
1
,
稲垣 浩
1
,
遠藤 聡
1
,
波良 勝裕
2
,
田中 聡
3
,
権藤 学司
3
Masato NOJI
1
,
Hiroshi INAGAKI
1
,
Satoshi ENDO
1
,
Katsuhiro HARA
2
,
Satoshi TANAKA
3
,
Gakuji GONDO
3
1神奈川県立病院機構神奈川県立足柄上病院脳神経外科
2秦野赤十字病院脳神経外科
3湘南鎌倉総合病院脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Ashigarakami Kanagawa Prefectural Hospital
キーワード:
脊髄硬膜外血腫(spinal epidural hematoma)
,
診断(diagnosis)
,
治療(treatment)
Keyword:
脊髄硬膜外血腫(spinal epidural hematoma)
,
診断(diagnosis)
,
治療(treatment)
pp.1111-1120
発行日 2016年12月25日
Published Date 2016/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200515
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はじめに
脊髄硬膜外血腫(spinal epidural hematoma:SEDH)は1869年にJackson16)が初めてspinal apoplexyとして報告し,1897年にBain3)によって最初に手術が施行された.その後も,ややまれな疾患としてしばしば報告されている.通常は突然の後頸部痛〜肩甲骨部の痛みより始まり,次第に上下肢の感覚障害,運動麻痺へと移行する.血腫の局在に応じて,monoparesis,hemiparesis,tetraparesisとさまざまな症候を呈する.原因としては軽微な外傷11)や原因不明であることが多く,症状が突然発症のため,脳血管障害と誤診されることも多い19,23,24,35).近年のMRIを中心とした画像診断技術の向上により,その報告は増加しており,同時に軽症のうちに診断されることも増加している2).以前は脊髄硬膜外血腫が確認されれば,速やかに外科的処置(血腫除去術)を施行していたが9,28),症状が経過中に改善し,保存的治療にて良好な経過を得る事例も多く報告されるようになってきた32,33).今回,最近の文献報告をまとめた臨床像とわれわれが経験した24例のSEDHの臨床病態について解説する.
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