特集II Myelopathy・Radiculopathy
頸椎症性脊髄症におけるdynamic canal stenosisについて
片岡 治
1
,
栗原 章
1
,
円尾 宗司
2
Osamu KATAOKA
1
1神戸大学医学部整形外科学教室
2兵庫医科大学整形外科学教室
pp.1133-1143
発行日 1975年12月25日
Published Date 1975/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908539
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緒言
頸椎症性脊髄症の脊髄症状発生に関与する単純X線上での変化で,脊髄圧迫の原因としての脊椎管狭窄の因子となりうるものは,developmental canal stenosis以外に,degenerative canal stenosisがある.後者には,myelographyやdiscographyにより確定診断がなされる頸椎椎間板ヘルニアや黄靱帯のinfoldingなども含まれるが,単純X線上では,後骨棘形成,platyspondyliaや椎間関節の変形性関節症および椎体のposterolisthesisなどの退行変性変化が数えられる12)(第1表).そして,この椎体のposterolisthesisによるdynamic factorについての検討はまだ十分になされていない.
本論文の目的は,頸椎症性脊髄症手術症例を対象として,椎体のposterolisthesisによるdynamic factorを有する本症を解説し,手術成績,手術法の選択などに関する知見を含め,dynamic factorの本症発生因子としての重要性を検討するものである.
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