Japanese
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特別寄稿
画像支援システムの変革—ウェアラブルディスプレイを用いた情報供給
The Evolution of the Image Support System
谷戸 祥之
1
,
許斐 恒彦
1
,
藤吉 兼浩
1
,
朝妻 孝仁
1
,
松川 啓太朗
2
Yoshiyuki YATO
1
,
Tsunehiko KONOMI
1
,
Kanehiro FUJIYOSHI
1
,
Takashi ASAZUMA
1
,
Keitaro MATSUKAWA
2
1独立行政法人国立病院機構村山医療センター整形外科
2防衛医科大学校整形外科
1Department of Orthopedic Surgery, National Hospital Organization Murayama Medical Center
キーワード:
ウェアラブルディスプレイ(wearable display)
,
画像支援(image support)
,
術中透視(intraoperative fluoroscopy)
Keyword:
ウェアラブルディスプレイ(wearable display)
,
画像支援(image support)
,
術中透視(intraoperative fluoroscopy)
pp.57-59
発行日 2016年1月25日
Published Date 2016/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200285
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はじめに
整形外科領域において,診断,治療にX線透視画像の使用は必須である.脊髄造影検査,椎間板造影検査はまだしも,大腿骨頸部骨折の骨接合術,手外科分野における鋼線刺入,各種の髄内釘などでは透視画像の支援がなければ手術は成立しない.脊椎手術の分野でも,近年脚光を浴びているLLIF(OLIF,XLIF)やCBT法,経皮的椎弓根スクリューの刺入などで画像支援は重要である.
これまで整形外科の歴史の中で長期にわたり使用されてきたこの透視画像支援システムであるが,大きく2つの欠点があった.1つはモニターの設置についてである.これらすべての透視画像は手術室において,術者の見やすいところに設置されたモニターに表示されてきた.しかし,術野に大きくせり出して位置する透視装置は術者の視界を制限し,画像の確認が困難なこともしばしばであった.また,同じ情報を共有しなければならない手術助手や看護師などにとって,術者に見やすい位置に設置されたモニターは必ずしも理想的な位置にあるとは限らず,複数のモニターの設置を考慮する必要もあった.
もう1つの欠点は,透視画像の確認のために術者は術野から眼を離さざるを得ない点である.たとえば,椎弓根スクリューの刺入においては,術者は術野でスクリューの刺入位置を決定し,モニター画面でその位置と方向を確認する.モニターを見るために術者は必然的に頭を動かして視線を術野から離さざるを得ず,その際に無意識に手元のブレが生じてしまう.結果,何度も同様の操作を繰り返すことになり,不必要な被曝を生じてしまう.この傾向は特に経験の浅い術者において顕著である.
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