Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.緒言
頸椎症性脊髄症は人によつてそれぞれ違つた意味で使用さている。本論文においては頸椎に骨軟骨症性変化のあるものを頸椎症とよび,そのために起こつてきた脊髄圧迫症状を,cervical spondylotic myelopathy (頸椎症性脊髄症)とよぶことにする。Mair1)らは,このような骨性変化がなくて,椎間板のみが脱出して,脊髄を圧迫する頸部椎間板ヘルニアによる脊髄症とよばれるものと混同して用いている。またOdom2)は,頸椎症といえば骨軟骨症性変化による脊髄圧迫症状であると解釈している。しかし本論文ではこれらを区別して用いることにする。
本症によつて起こる症状としては,四肢の運動,知覚障害のほかに,体幹の一部もに知覚障害が起こつてくる。患者は歩行障害を主訴として来院することが多い。下肢の筋力,とくに伸筋の筋力低下が著しく,そのために尖足位となり,歩行は不安定でかつ痙直性で,階段の昇降や不整地の歩行が困難となる。上肢ではボタンがはめにくくなつたり,手指のこわばりなどの手の巧緻性が低下する。そのほか上肢に電撃痛様疼痛が起こることもある。筋電図で上肢筋にfasciculationを認めることもある。触覚,痛覚,位置覚,振動覚もおかされる。時には手の固有筋の萎縮を伴うこともある。
In the past 5 years, 36 cases of cervical spondy-lotic myelopathy have been treated by decompres-sion operation either through an anterior approach or posterior approaches. Neurological changes as-sociated with the disease were described. Main com-plaints such as difficulty in walking and clumsiness of finger motion disappeared in 32 out of 36 pa-tients after the surgery in spite of continued exis-tense of pathological reflexes and exaggerated tendon reflexes.
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.