Japanese
English
特集 慢性腰痛(非特異的腰痛)
慢性腰痛(非特異的腰痛)に対するリエゾンアプローチ
Liaison Approach for Chronic Low Back Pain
二階堂 琢也
1
,
紺野 愼一
1
Takuya NIKAIDO
1
,
Shin-ichi KONNO
1
1福島県立医科大学医学部整形外科学講座
1Department of Orthopaedic Surgery, Fukushima Medical University, School of Medicine
キーワード:
腰痛(low back pain)
,
リエゾンアプローチ(liaison approach)
,
心理社会的因子(psychosocial factor)
Keyword:
腰痛(low back pain)
,
リエゾンアプローチ(liaison approach)
,
心理社会的因子(psychosocial factor)
pp.51-56
発行日 2016年1月25日
Published Date 2016/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200284
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はじめに
慢性痛の疫学調査より,日本人成人の15〜26%が慢性痛を有している9,10,14,17).慢性痛の部位では,腰部が最も多い.腰痛が長期化することによって,患者のADLやQOLは大きく損なわれ,患者はさまざまな随伴する症状に悩まされる.ときには患者の家族にも身体的・精神的な負担が強いられ,慢性腰痛によって引き起こされる社会的損失は計り知れない.
腰痛に対する診断や評価は,従来から病態生理学的指標や病理解剖学的指標を中心に行われてきた.しかし,これらの指標だけでは,慢性腰痛の病態を明らかにすることは困難である.近年,腰痛を「生物・心理・社会的疼痛症候群」という概念で捉えることの重要性が認識されるようになり4,5),心理社会的因子に対するアプローチの重要性が明らかとなった.
当科では,1996年から,心理社会的因子が関与している慢性腰痛患者を対象として,リエゾンアプローチを行ってきた.リエゾンとは「連携」,「橋渡し」という意味をもつフランス語である.すなわち,複数の診療科が恒常的に協力して1人の患者に対して多面的・学際的に診療を行うことをリエゾンアプローチという.本稿では,われわれの診療現場で実際に行っている慢性腰痛に対するリエゾンアプローチについて解説する.
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