Japanese
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特集 脳脊髄液—どこからどこへ
髄液循環からみた脊髄癒着性くも膜炎
Spinal Adhesive Arachnoiditis and Cerebrospinal Fluid Circulation
小柳 泉
1
Izumi KOYANAGI
1
1北海道脳神経外科記念病院
1Hokkaido Neurosurgical Memorial Hospital
キーワード:
脊髄癒着性くも膜炎(spinal adhesive arachnoiditis)
,
脊髄空洞症(syringomyelia)
,
手術療法(surgical treatment)
Keyword:
脊髄癒着性くも膜炎(spinal adhesive arachnoiditis)
,
脊髄空洞症(syringomyelia)
,
手術療法(surgical treatment)
pp.737-742
発行日 2015年8月25日
Published Date 2015/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200194
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はじめに
脊髄癒着性くも膜炎は,外科治療が最も困難な脊髄疾患の1つである.古くから知られた病態であり,1939年のMackayの論文8)によると,1897年のSchwarzによる梅毒性脊髄髄膜炎の症例報告が最初とされる.病理所見は,くも膜・軟膜の肥厚と線維化や囊胞形成があり,脊髄には白質の軟化や灰白質の囊胞化を伴った変性所見がみられる8).さらに,軟膜・くも膜内の血管は,壁の肥厚と閉塞がみられる8).慢性進行性の病態であり,くも膜・軟膜の肥厚性の異常による脊髄周囲の髄液および血液循環の障害が重要な役割を果たしていると考えられる.しかし,病態生理は十分解明されておらず,治療方法も確立していない.本稿では,脊髄の髄液循環に関する考察と自験例の分析を行い,脊髄癒着性くも膜炎の病態を理解する.
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