脊髄癒着性くも膜炎に対するシャント手術

Shunt Surgery for Spinal Adhesive Arachnoiditis

はじめに

　脊髄癒着性くも膜炎の病態生理は十分に解明されていないため，根治的な解決策がなく，緩徐進行性の病状を呈する．くも膜と脊髄との癒着および瘢痕形成をきたし，髄液還流障害や脊髄血流障害，脊髄係留の原因となる．また，髄液還流障害によるくも膜囊胞や脊髄空洞の形成により，さらに病態が複雑化し治療困難となっていく^5,6,12,16）．手術後の再発率も比較的高く，再手術が必要となることもまれではない^1,9,14）．

　本稿では，脊髄癒着性くも膜炎によるくも膜囊胞および脊髄空洞症に対する髄液シャント術の手術手技と問題点について解説する．