発行日 2015年6月1日
Published Date 2015/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2015285026
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72歳男。両下肢痛を主訴とした。16年前に腰椎手術を受けており、3年前より両下肢後面の痛みと下腿以下の脱力感が出現し、次第に歩行困難となった。腰椎MRIでは、L4/L5高位に高度な脊柱管圧迫所見を認め、ミエロCT冠状断像では、L3/L4高位でのほぼ完全ブロックを確認した。前回の手術部位に硬膜外瘢痕組織が増生して硬膜管を背側から圧迫し、さらに硬膜内では馬尾神経に癒着性くも膜炎を併発していると診断し、手術を行った。L3~L5高位の硬膜管背側は術後増生したと考えられる瘢痕組織で充満していた。癒着組織は、顕微鏡下にメスと剥離子を用いて硬膜管から除去することができた。しかし、硬膜管内は線維性の瘢痕組織で充満し、除去できる状態ではなかったため、硬膜を閉じ手術を終了した。最終的に硬膜管背側の瘢痕組織を除去したことにより、硬膜管が拍動しているのが確認できた。術後1年現在、下肢症状は改善し1本杖歩行が可能となった。
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