Japanese
English
特集 脳脊髄液—どこからどこへ
髄液循環からみた髄液減少症
Intracranial Hypotension and Cerebrospinal Fluid Dynamics
高橋 浩一
1
,
美馬 達夫
1
,
秋葉 洋一
2
Koichi TAKAHASHI
1
,
Tatsuo MIMA
1
,
Yoichi AKIBA
2
1山王病院脳神経外科
2秋葉病院脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Sanno Hospital
キーワード:
低髄液圧症候群(spontaneous intracranial hypotension)
,
脳脊髄液減少症(CSF leaks)
,
RI脳槽シンチグラフィー(RI cisternography)
Keyword:
低髄液圧症候群(spontaneous intracranial hypotension)
,
脳脊髄液減少症(CSF leaks)
,
RI脳槽シンチグラフィー(RI cisternography)
pp.743-749
発行日 2015年8月25日
Published Date 2015/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200196
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はじめに
特発性低髄液圧症候群をはじめとする髄液が減少する病態(髄液減少症)では,起立性頭痛をはじめ,めまい,耳鳴り,倦怠感,視覚異常など多彩な症状を呈する症例が多い10,11,13〜15).本症のRI脳槽シンチグラフィー(脳槽シンチ)やCTミエログラフィー(CTミエロ)では,髄腔内のトレーサー,造影剤が脊髄神経根から吸収され,神経線維に沿うように進展し,脊柱傍筋群や軟部組織に貯留する興味深い画像所見が得られる8,9,14).非生理学的状態であるが,髄液吸収の機序解明に関して有用な所見と考えている.
また,髄液減少症に対する治療として硬膜外自家血注入(ブラッドパッチ)が有効である.本治療により,頭痛などの自覚症状のみならず,視覚,聴覚,高次機能障害,運動障害,振戦,尿失禁,そして味覚までが改善し得る.不明な点が多い髄液の機能に関して,新たな知見が得られる可能性がある.
今回,髄液減少症症例から,髄液動態と機能について考察する.
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