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特集 Multiply operated back
腰部癒着性くも膜炎について
Lumbar Spinal Adhesive Arachnoiditis
神原 幹司
2
,
植田 百合人
1
,
石井 元章
1
,
横田 英麿
1
,
岩崎 洋明
1
,
増原 建二
1
Kanji KAMBARA
2
1奈良県立医科大学整形外科学教室
2済生会富田林病院整形外科
1Department of Orthopedic Surgery, Nara Medical University
キーワード:
癒着性くも膜炎
,
adhesive arachnoiditis
,
手術用顕微鏡下剥離
,
microdissection
,
myodil
Keyword:
癒着性くも膜炎
,
adhesive arachnoiditis
,
手術用顕微鏡下剥離
,
microdissection
,
myodil
pp.372-377
発行日 1981年4月25日
Published Date 1981/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408906328
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はじめに
腰部癒着性くも膜炎の発生については種々の原因があげられているが,本邦においてはまとまつた報告は少ない.日常の臨床において,しばしば遭遇する腰部脊柱管狭窄症7〜9),腰椎椎間板ヘルニア11),馬尾神経腫瘍,腰部打撲などの外傷後などにおいても,癒着性くも膜炎の存在が指摘されているし,われわれも時に経験しているところである.第1図は,定型的な馬尾神経性間厥性跛行を主訴とする腰部脊柱管狭窄症の症例である.第1図aは,水溶性造影剤Diraxを用いての術前の脊髄造影,第1図bは術中air tomeにより黄色靱帯を残し,椎弓のみを切除した時の術中脊髄造影である.第1図cは黄色靱帯をも切除し,後側方の圧迫要素を完全に除いた後の術中脊髄造影である,ここに示したように,硬膜外の圧迫を除去し去つた後でもdural tubeの正常な広がりは得られていない.これは明らかに癒着性くも膜炎の存在を示している.この所見をもとにしてわれわれは6症例の腰部脊柱管狭窄症において,硬膜内の所見を観察したところ,全症例に程度の差こそあれ,癒着性くも膜炎を認めることができた.これに対してmicrodisscctionを行い,その有用性を第53回中部整災学会に報告した.
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