Japanese
English
特集 癒着性くも膜炎の病態と治療法を学ぼう
癒着性くも膜炎の原因と病態
Causes and Pathology of Spinal Adhesive Arachnoiditis
久保田 基夫
1
Motoo KUBOTA
1
1亀田総合病院脊椎脊髄外科
1Department of Spinal Surgery, Kameda Medical Center
キーワード:
脊髄癒着性くも膜炎
,
spinal adhesive arachnoiditis
,
油性造影剤
,
oil-based contrast medium
,
外傷後脊髄空洞
,
posttraumatic syringomyelia
Keyword:
脊髄癒着性くも膜炎
,
spinal adhesive arachnoiditis
,
油性造影剤
,
oil-based contrast medium
,
外傷後脊髄空洞
,
posttraumatic syringomyelia
pp.78-84
発行日 2022年6月24日
Published Date 2022/6/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201795
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに1,4,9)
脊髄癒着性くも膜炎(spinal adhesive arachnoiditis:SAA)は,くも膜および神経組織の広範な癒着と瘢痕形成を特徴とするまれな疾患である.病状の進行により病変部以下の異常感覚や運動麻痺などの脊髄症状,神経根症状,膀胱直腸障害のみならず,耐えがたい神経障害性疼痛を訴えることが多い.病態に応じて保存治療や外科治療が選択されるが,スタンダードな治療法が確立していないため治療に難渋する.
発生機序に関しては不明な点が多いが,先行する要因として髄膜炎,脊髄外傷,脊椎手術,くも膜下出血,脊髄造影や腰椎麻酔などが知られている.これらは私たちが日常診療で扱っているものばかりである.言葉を返せば,誰でも本疾患に遭遇する可能性がある.1人の臨床医が多数例を経験することは少ないかもしれないが,少なくとも脊椎脊髄外科医は本疾患の病態や治療法を理解している必要があろう.
Copyright © 2022, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.