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Key Questions
Q1:刑務所における社会復帰支援とは?
Q2:刑務所での作業療法士の実践内容は?
Q3:拘禁刑を見据えた新たな動きとは?
はじめに
2022年(令和4年)6月に「刑法等の一部を改正する法律」が成立し,懲役刑と禁錮刑が廃止されることになり,新たに拘禁刑が創設された.2025年6月までに施行されるこの拘禁刑は,これまでの集団処遇から個別処遇にシフトし,一人ひとりに必要な働きかけを可能にするものであり,いわば「刑の個別化」を促進する動きである.2023年(令和5年)12月には,「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」(以下,刑事収容施設法)の改正に伴い,「社会復帰支援」が刑事施設の長の責務として同法に明文化された.現在,刑事施設においては,入所中から出所後の生活を見据えた社会復帰支援の充実・強化が進められている.
2024年(令和6年)4月には,刑務所等に配置された作業療法士の拡充や体制整備を進めるために,刑事施設の上級官庁である法務省東京矯正管区に作業療法士が配置された.この動きにより,矯正施設に勤務する作業療法士間の情報共有が円滑化され,受刑者等の対象者への社会復帰を促進するための新たな施策をより推進しやすい構造がつくられた.
本稿では,筆者らが勤務する刑務所の現状を踏まえ,作業療法士による受刑者へのアプローチの実際を論述したい.そして,出所後の生活を見据えた社会復帰支援について,試行的取り組みも含めて紹介させていただきたい.本稿における意見の部分は筆者らの私見であるが,本稿が刑務所等における作業療法士の取り組みの普及啓発となり,この領域に携わる後進の育成に寄与する機会となれば幸甚である.
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