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特集 地域移行・地域定着に貢献できる司法作業療法の未来
刑事司法と作業療法—作業療法士のさらなる活躍の展望
Criminal justice and occupational therapy: Prospects for the further activities of occupational therapists
小西 暁和
1
Tokikazu Konishi
1
1早稲田大学法学学術院
pp.1147-1151
発行日 2024年11月15日
Published Date 2024/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203986
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Key Questions
Q1:矯正・更生保護の現在の課題とは?
Q2:拘禁刑とは?
Q3:刑事司法における作業療法士のさらなる活躍の場とは?
はじめに
わが国では,2022年(令和4年)に「日本司法作業療法学会」が設立された.本学会では,大会等も開催しつつ,矯正,更生保護,医療観察等の領域での作業療法に関する研究の取り組みが進められている.実際に,現在,広く刑事司法の領域においては,作業療法士の役割が拡大している.
そこで,本稿では,刑事司法と作業療法の関係性について,刑事法,とりわけ刑事政策(学)の観点から検討していく.そして,刑事司法の領域における作業療法士のさらなる活躍の展望を示していくことにしたい.
なお,刑事法とは,刑法,刑事訴訟法,刑事政策の3分野から成る.犯罪と刑罰を定めているのが刑法,そしてその刑法を実現するための手続を定めているのが刑事訴訟法である.一方,社会秩序の維持・実現を目指し,国や地方公共団体は,立法や法運用を通じて,犯罪対策のあり方を日々工夫している.刑事政策とは,これらの立法や法運用による制度や活動を指している.そして,そうした刑事政策を研究対象にするのが刑事政策学である.広い意味で刑事政策学も含めて「刑事政策」と呼ばれることもある.刑事政策の手段として,現在,各国で,刑罰,保安処分,処遇,被害者保護,犯罪予防(防犯等)が用いられている.本稿では,このうちのとりわけ刑罰と処遇が深くかかわる.
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