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Key Questions
Q1:少年院転用型処遇とは何か?
Q2:若年受刑者を対象とする処遇における作業療法士のかかわりとは?
Q3:司法作業療法に県士会としてかかわる流れとは?
はじめに
市原青年矯正センター(以下,センター)は,2020年(令和2年)10月に発出された諮問第103号に対する法制審議会の答申における「若年受刑者を対象とする処遇内容の充実」に関する取り組みの一環として,全国初の少年院転用型の刑事施設として,2023年(令和5年)4月に設立され,11月から収容開始となった.センターは,おおむね26歳未満で犯罪傾向の進んでいない男子受刑者のうち,知的障害,情緒障害もしくは発達障害を有し,またはこれらに準ずる者であって,社会適応のための訓練を要する者などを収容するものである.
少年院転用型処遇においては,特に手厚い処遇が必要な者について,少年院と同様の建物・設備を備えた施設に収容し,社会生活に必要な生活習慣,生活技術,対人関係等を習得させるための指導を中心とした処遇を実施することとされており,以下の基本的枠組みが定められている1).
1)少年院を転用した刑事施設に収容し,少年院の処遇環境を活用した少人数の寮単位での処遇を実施する.
2)少年院の知見を活用し,個々の受刑者の特性に応じたきめ細かな矯正処遇,社会復帰支援を展開する.
3)刑務官,教育専門官,調査専門官,福祉専門官等,多職種の職員が高密度に連携する.
集団で行う矯正処遇と並行して,センター生には刑務官と教育専門官の2名の担当がつき,個別面接や日記指導,生活状況等に応じた個別課題の選定等,個に応じた処遇にも重点が置かれている.
寮での生活では,社会復帰を支援する観点から居室に鍵はなく,寮内の居室を出入りできる.食事は居室内ではなく,センター生が集まって集会室でとっている.食事の準備,洗濯等は当番制で行ったり,入浴はグループごとに時間制で共同の浴場を使用する等,開放的な環境で共同生活を営んでいる.また福祉的就労を見据え,ビジネスマナーや基礎的な仕事のスキルを身に付けることを目的とした「就労実務科」や,資格取得ができる「ビルハウスクリーニング科」等,就労に向けた訓練も行う.これらは出所後の社会生活に必要な生活習慣,生活技術,対人関係等を習得できるように意図されている(図 1〜3,表).
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