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編集後記
江藤 文夫
pp.1038
発行日 2024年9月15日
Published Date 2024/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203949
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高次脳機能障害のある人への支援が,行政のモデル事業として実施され,各都道府県に支援拠点機関が設けられるようになったことから,高次脳機能障害という呼称が普及することになった.しかし,この用語を巡っては,概念を含めて用語の不適切を指摘されることもあった.対応する低次脳機能障害という言葉は一般的には使用されない.
言葉のイメージが差別をうやむやにすることもありそうである.「痴呆」という呼称も嫌われ,約20年前に「認知症」と改められた.おかげで,かつては精神障害の終末像としての痴呆の治療を論じても無視されがちであったが,欧米における痴呆の治療(トリートメント)に関して可逆性痴呆の鑑別や症状経過の段階分類等が知られ,日本でも認知症として処遇と支援の実践に取り組まれるようになった.ある意味で認知症も高次脳機能障害であり,超高齢社会を迎えて,支援サービスの対象として拡大しつつある.
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