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編集後記
江藤 文夫
pp.400
発行日 2020年4月15日
Published Date 2020/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202075
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老年期の精神疾患を本誌が特集するのは稀なことで,少なくとも超高齢社会に突入して以降初めてである.古くからのsenile psychosisという用語はsenile dementiaの同義語になったが,認知症については増刊号を含めてたびたび取り上げられてきた.精神病とは,あるいは精神障害とは何かという課題にも直結する重要な領域であり,それだけにICDやDSMといった診断分類の改訂ごとに振り回される興味深い分野でもある.その昔,精神分裂病,躁うつ病,非定型精神病に集約された内因性精神病を想うと,老化現象の重要な成分である内因の視点で高齢者には頻度の高い疾患であろう.
そのトリートメントでは患者の日常生活における活動(アクティビティ)に焦点を当てることが大切で,OTに期待されるわけである.個人や環境との相互作用に着目する中で,個人の生活歴とそこで形成された価値観を含め,経時的プロフィール(temporal profile)を整理することが診療に役立つことと思う.不安,身体症状症,気分障害,幻覚妄想状態,いずれにも関連する認知障害等,本特集における各先生方の日常診療における事例を含めた解説はいずれも貴重である.
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