特集 脊髄損傷と作業療法
扉
松本 琢麿
1
,
中村 春基
2
,
竹内 さをり
3
1神奈川県総合リハビリテーションセンター
2千里リハビリテーション病院
3甲南女子大学
pp.559
発行日 2024年7月15日
Published Date 2024/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203821
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特集にあたって
私は「理学療法士」と勘違いして,「作業療法士」となった.そのため新人時代から,重度の全身麻痺を呈する脊髄損傷者に対して,非常に興味深くかかわってきた.“脊髄損傷者に大きな影響を与えられる療法士”を目指してきた結果,基本動作やADL介入のみならず,在宅生活のための自助具や福祉用具,住環境整備,社会参加の活動援助ができて,“本当に作業療法士となってよかった”と感じている.
近年,脊髄損傷の受傷状況は大きな変化がみられており,脊髄損傷の多様化とともに私たちの作業療法も変化し,対応している.具体的には「高齢不全頸髄損傷者」が主な対象となり,①立位/歩行によるADL介入や,②中心性頸髄損傷のように下肢機能よりも重度麻痺が生じる上肢/手指への積極的なアプローチ,③無動不動にならないよう日常生活や社会参加活動の検討等が必要となっている.これから脊髄の再生医療によって,ますます不全麻痺者の増加が予想される.その一方,再生医療で期待した効果が得られなかった脊髄損傷者への対応も必要となるため,私たちは「多様な脊髄損傷者」に対して,身体機能や動作能力の改善,住環境整備や社会参加まで「全人的なアプローチ」が求められている.
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