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特集 精神科作業療法最前線
ひきこもり経験のある方に対する理解と実践
Understanding and practice for people with Hikikomori experience
児嶋 亮
1
Ryo Kojima
1
1桜花会クリニックデイケアセンター
pp.1427-1431
発行日 2023年12月15日
Published Date 2023/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203623
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Key Questions
Q1:ひきこもりとは?
Q2:ひきこもり支援におけるOTの役割とは?
Q3:ひきこもり支援体制をどう構築するか?
はじめに
ひきこもりとは「様々な要因の結果として社会的参加(義務教育を含む就学,非常勤職を含む就労,家庭外での交遊など)を回避し,原則的には6カ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)を指す現象概念」1)と定義される.2019年(令和元年)の川崎市や東京都練馬区の事件を契機として,ひきこもり支援体系の再検討と整備が進み2),また当事者および家族より,定義やガイドラインが実態にそぐわないとの指摘もあり,厚生労働省にて初の支援マニュアルを2024年度中に作成予定となっている.2021年(令和3年)の内閣府調査報告3)によると,全国の15〜64歳のうち,ひきこもり状態にある方は146万人と推計されたが,ひきこもり状態になるきっかけの一つとしてコロナウイルス感染症の流行によるものがどの年代においても上位に上がっている.またコロナ禍による社会への影響として,コロナ後に社会活動が再開し社会的孤立は改善しても,孤独感は増悪しているとされている4).これは,一度失った学校や仕事等の機会の再獲得が,その人が抱える生きづらさの改善とは必ずしも一致しないことを表しているともいえよう.
本稿は,ひきこもり経験をもつ方の理解とその人が抱える生きづらさへの支援,そして支援体制構築にどのように関与していくかを主題として筆者の見解を述べたい.
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