増刊号 精神科作業療法
第4章 精神科作業療法のフィールド
12 ひきこもりとその支援について
児嶋 亮
1
,
松井 孝至
2
,
佐々木 有里
3
,
米澤 知紀
4
,
真下 いずみ
5
,
中村 友美
6
Ryo Kojima
1
,
Takashi Matsui
2
,
Yuri Sasaki
3
,
Tomoki Yonezawa
4
,
Izumi Mashimo
5
,
Yumi Nakamura
6
1桜花会クリニック
2第二北山病院
3いわくら病院
4宇治おうばく病院
5藍野大学
6髙木神経科医院
pp.918-923
発行日 2020年7月20日
Published Date 2020/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202202
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はじめに
日本におけるひきこもり者数は,15〜39歳で約54万人1),40〜64歳で約61万人2)とされ,社会的課題に発展している.ひきこもりとは,さまざまな要因の結果として社会的参加を回避し,原則的には6カ月以上にわたって,おおむね家庭にとどまり続けている状態を指す現状概念である.原則として統合失調症の陽性,あるいは陰性症状に基づくひきこもり状態とは一線を画した非精神病性の現象とするが,実際には確定診断がなされる前の統合失調症が含まれている可能性は低くないことに留意すべきである3).
精神科領域のOTは,ひきこもり経験者の支援に携わる機会があるが,それは彼らが医療機関を受診し,精神科診断を受けた後である.われわれは,ひきこもりの解消には医療の枠組みを超えた予防的観点からの介入が必要と考え,2016年(平成28年)に京都精神科分野勉強会(SIG)内にひきこもり支援ワーキンググループを設置し,2018年(平成30年)には京都府作業療法士会ひきこもり支援OTチーム(以下,OTチーム)を発足した.
本稿では,ひきこもりの概論と現状,OTチームの活動実績を報告し,精神科領域のOTがひきこもり支援に従事する機会や方策を検討するための一助とすることを目的とする.
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