特集 若者の精神保健①
ひきこもりと不登校
斎藤 環
1
1筑波大学医学系社会精神保健学
pp.355-359
発行日 2013年5月15日
Published Date 2013/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102729
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はじめに
「不登校」および「ひきこもり」は,いずれも診断名や臨床単位ではない.思春期・青年期における広義の不適応状態を意味する言葉である.「不登校」は,主として小・中学生に対して用いられるが,同様の状態は高校生,大学生,大学院生にも既に珍しいものではない.登校をめぐる,主に心理・社会的な葛藤から登校ができなくなるものであり,長期化するにつれて,後述するひきこもり状態,あるいは家庭内暴力,自殺企図といった問題行動に至る場合もある.
また「ひきこもり」は,現在数十万~百万人という規模で存在し,依然として増加傾向が続いていると考えられる.既にわが国の社会問題の1つと認識されており,政策レベルでさまざまな対策が講じられてきたが,いまだ十分な支援がなされているとは言い難い.本稿では「不登校」と「ひきこもり」の関係性と,それぞれに対する基本的な考え方と対応方針について述べる.
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