特集1 「ひきこもり」ケースには,こう対応する! 保健師ができる支援について考える
―「ひきこもり」を理解しよう➀―青年期ひきこもりケースの精神医学的理解
近藤 直司
1,2
1山梨県立精神保健福祉センター
2山梨県中央児童相談所
pp.1140-1144
発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100241
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ひきこもりの概念
ひきこもりという用語は大きく分けて,2つの意味合いで用いられてきました1)。1つは,周囲に無関心になり,もっぱら自らの精神内界の現実にのみ心を奪われ,全能的自己愛に浸っているような精神内界の現象についてです。「心を閉ざしている」「心と心の交流に乏しい」などと表現されるような状態も含めて,内的なひきこもり・情緒的ひきこもりなどと呼ばれてきました。
もう1つは,生活する空間,時間を狭め,外出しなくなったり,家族とも顔を合わせないように昼夜逆転の生活を送るようになるなど,対人関係の回避や孤立した生活状態を指す場合で,外的なひきこもり・社会的ひきこもりsocial withdrawalと表現されます。英語のsocialは「対人関係上の」といった意味合いが強いことから,社会的ひきこもりは,「対人関係を回避している」「誰とも関わろうとしない」といった意味合いになります。
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