増刊号 急性期における疾患別作業療法
第4章 がん,NICUの作業療法
3 頭頸部がん周術期における作業療法実践
三浦 裕幸
1
,
加藤 拓彦
2
,
西村 信哉
1
,
工藤 直美
2
,
伊藤 良平
2
,
津田 英一
2
Hiroyuki Miura
1
,
Takuhiko Kato
2
,
Shinya Nishimura
1
,
Naomi Kudo
2
,
Ryohei Ito
2
,
Eiichi Tsuda
2
1弘前大学医学部附属病院
2弘前大学
pp.928-933
発行日 2023年7月20日
Published Date 2023/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203480
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はじめに
頭頸部がんは,頭部,顔面,頸部に生じる悪性腫瘍の総称であり,その領域はADLやQOLにかかわる感覚器や運動器等の機能を有している1).頭頸部がんの根治治療は,手術療法,放射線療法,放射線療法と薬物療法の併用療法の3つに分けられる.治療に伴い,審美性の問題や呼吸器合併症,構音障害,摂食・嚥下障害,頸部・上肢機能障害,せん妄,サルコペニア等のリスクが高まることが報告されており2〜4),医師や看護師,OT,ST等,多職種連携による集学的治療が重要である.
本邦における2019年(令和元年)の初診頭頸部がん症例数は1万3,658例(頸部食道・甲状腺がんは除外)であり,主な腫瘍部位は,口腔がん29.2%,下咽頭がん20.9%,喉頭がん17.7%と報告されている5).また,頭頸部がんに60歳以上の高齢者が占める割合は77.2%となっており,疾患に伴う症状のみならず,加齢に伴う心身機能や活動性の低下,社会参加の困難さへの対策も考慮する必要がある.『がんのリハビリテーション診療ガイドライン(第2版)』6)では,頭頸部がんに対する治療が行われた患者には,上肢機能や摂食嚥下の障害,ADL制限の改善のために,早期からの適切なリハビリテーション治療の開始と継続を推奨している.
本稿では,周術期頭頸部がん患者に対する作業療法実施時の問題となる合併症と,その評価と対応について述べ,筆者らが行っている急性期作業療法実践について報告する.
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