増刊号 急性期における疾患別作業療法
第4章 がん,NICUの作業療法
4 骨転移を有する対象者への作業療法
阿瀬 寛幸
1
Hiroyuki Ase
1
1順天堂大学医学部附属 順天堂東京江東高齢者医療センター
pp.934-939
発行日 2023年7月20日
Published Date 2023/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203481
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はじめに
一生涯において日本人の2人に1人はがんに罹患するといわれる中,最新がん統計1)によると,10年生存率は60%を超えるようになり,もはやがんは慢性疾患ともいわれている.
転移性骨腫瘍(以下,骨転移)とは,がん細胞が原発巣より血行動態性に移動した骨で増殖している状態のことである.これは,がんのStage 4,すなわち遠隔転移を認め,原発にがんがとどまっていない状態であることを指し,全身治療が必要であったり,あるいは,根治を目指さずに生活の質に重点を置いた治療に移行したりする場合も多い.骨転移は,脳卒中や外傷による骨折等のように,急性発症するものではなく,体内で徐々に進行し,治療や症状も日々変化し続ける.そのような中,骨転移に対する作業療法をなぜ「急性期」として取り扱うのか,筆者の考えを含めながら本稿で紹介していきたい.
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