増刊号 急性期における疾患別作業療法
第4章 がん,NICUの作業療法
2 リンパ浮腫
三宅 一正
1
Kazumasa Miyake
1
1光生病院 リンパ浮腫治療センター
pp.922-927
発行日 2023年7月20日
Published Date 2023/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203479
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はじめに
近年,がんの早期発見・早期治療後の患者の社会的な問題への解決対策として,就労支援やQOLへの関心も高まりをみせ,リハの果たす役割が注目されている.特に乳がん・子宮がん等の術後の二次的後遺症として発症する四肢のリンパ浮腫は,薬物療法単独で治療効果を得ることは困難であり,リハの果たす役割は大きい.しかし,わが国ではリンパ浮腫に関する専門知識を有するセラピストは少なく,患者が十分な治療を行える環境が整っていないのが現状である.そのような中で,2016年度(平成28年度)の診療報酬改定により,リンパ浮腫における複合的治療の保険適用が決定した.併せて,日本作業療法士協会が長期にわたり渉外活動を行った結果,「リンパ浮腫指導管理料」の算定職種にも「作業療法士」が追加され,リンパ浮腫治療においてOTが予防期から終末期にわたり包括的に関与することが可能となった.リンパ浮腫に悩む患者にとって,浮腫の増悪がADLやQOLを損ねる大きな要因となっており,OTは患者の状態を的確に捉え,生活障害や心理面を含めた支援を行うことが大切である.
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