連載 作業療法を深める・第72回
患者中心の医療の実現に向けて—患者経験価値(Patient Experience:PX)の可能性
出江 紳一
1
,
安藤 潔
2
,
藤井 弘子
3
,
曽我 香織
3
Shin-ichi Izumi
1
,
Kiyoshi Ando
2
,
Hiroko Fujii
3
,
Kaori Soga
3
1東北大学大学院医工学研究科
2東海大学医学部
3日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会
pp.1350-1355
発行日 2022年12月15日
Published Date 2022/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203222
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PXとは何か
患者経験価値(Patient Experience:PX)は医療の質の構成要素の一つである「患者中心性」1)を測る指標である.疾病構造の変化や個別化したケアが重視されるようになったのに伴い,英国や米国では2000年前後から注目され,政府主導によるPX尺度の調査(サーベイ)が行われている.
PXは「患者が医療サービスを受ける中で経験するすべての事象」と定義され,測定するのは入院や外来において,患者が経験するさまざまなケアプロセスである(図 1).PXサーベイの設問では,「あなたがナースコールを押してから実際に職員が来るまでどのくらい待ちましたか?」といった具体的な場面での対応を評価する.さらに,患者へのインタビューやケアプロセスの観察を加えることで具体的な課題を抽出し,質改善につなげていく.
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