連載 作業療法におけるテクノロジーの活用・第3回
AIとの共生—認知症ケア支援を例題とした作業療法の近未来
石川 翔吾
1
Shogo Ishikawa
1
1静岡大学情報学部
pp.1344-1349
発行日 2022年12月15日
Published Date 2022/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203221
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はじめに
AI(artificial intelligence:人工知能)という言葉があたり前のように使われはじめ,さまざまなフィールドに深く入り込もうとしている.本稿では,AI技術の特徴について解説し,最近の研究動向を俯瞰しながら,作業療法の領域へどのように利用される可能性があるのかを述べる.
AIにどのようなイメージをもつだろうか? 画像を「認識」することができる,画像を「描く」ことができる,チャットで「対話」することができる,まるで人のように「話す」ことができる,将棋や囲碁で人に勝つことができる,英語を日本語へ「翻訳」することができる.これらは近年話題になったAI技術の活用例である.
ひとえにAIといっても,50種類以上の技術の総称で,AIに明確な定義があるわけではない.人工知能学会誌の中で企画された「AIとは何か?」の連載で多くの第一線の研究者によるAIの定義が述べられたが1),知能をどう扱うかでさまざまな立場がとられている.筆者自身は,図 1に示すようにコンピュータサイエンスとヒューマンサイエンスの融合領域が人工知能学であり,人間の知能に関する基礎研究とアプリケーションを意識した応用的な立場の違いであると考えている.
次節では,近年のAI技術の動向を踏まえてAI技術の利点や限界について具体的に述べる.
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