増刊号 こんなときどうする? 運動器の作業療法ナビ
第5章 合併症としての運動器の問題
5 脳性麻痺への作業療法
砂古口 雅子
1
Masako Sakoguchi
1
1兵庫県立障害児者リハビリテーションセンター
pp.911-915
発行日 2022年7月20日
Published Date 2022/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203083
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はじめに
脳性麻痺とは,1968年(昭和43年)の厚生省脳性麻痺研究班会議により“受胎から新生児期(生後4週間以内)までの間に生じた脳の非進行性病変に基づく,永続的なしかし変化しうる運動および姿勢の異常である”と定義づけられているが,成人するにつれてさまざまな問題が生じる.梶浦1)はこの脳性麻痺の二次障害を次のように述べている.“中枢神経の働きに問題があるうえに,年齢とともに体重,身長増加など物理的な要素が加わり,学校,職場などの社会生活の場面ではきわめて強い精神的圧力が加わって,筋緊張亢進,アテトーゼなどを強める結果となる.このため,変形,拘縮,脱臼,さらには,それと同時に痛みも起こりやすく,機能の低下を来し,悪循環に陥ることになる”.
本稿では,脳性麻痺の成人期における二次障害の中でも運動器障害である頸椎症性脊髄症等,頸椎に問題が出てくる患者について,具体的な介入方法や在宅生活での動作指導・介助方法のヒントを述べたい.
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