片麻痺脳性麻痺児に対する上肢ボツリヌス療法と作業療法併用の効果

Effects of botulinum toxin therapy in upper extremity and occupational therapy for children with spastic hemiplegia

要旨　片麻痺脳性麻痺（cerebral palsy；CP）児の上肢に対するボツリヌス療法（botulinum toxin therapy；BTX）の効果に関する国内での報告は少ない．片麻痺CPの上肢に対しBTXを実施し，効果を検討した6症例について報告する．片麻痺CP 6名（男児4名，女児2名，3〜6歳）で，治療効果判定は，痙縮をModified Ashworth Scale（MAS），上肢両手動作の評価としてManual Ability Classification System（MACS），麻痺側片手動作の評価としてModified House Functional Classification（MHC）を使用した．MASはすべての症例で改善を認めた．MACSで改善を認めたのは3例であった．MHCは5例で改善の傾向を認めた．すべての症例において，日常生活で可能となった動作がみられた．片麻痺CPの上肢においてBTXを行う際には，日常生活で実際に行う動作を参考に個々人の目標を定めて行うことによりBTXが有効となることが示唆された．