増刊号 こんなときどうする? 運動器の作業療法ナビ
第5章 合併症としての運動器の問題
4 頭部外傷
井上 慎一
1
,
内田 智子
2
,
西尾 優也
1
,
西原 賢在
1
Shinichi Inoue
1
,
Tomoko Uchida
2
,
Yuya Nishio
1
,
Masamitsu Nishihara
1
1神戸市立西神戸医療センター
2神戸大学
pp.905-910
発行日 2022年7月20日
Published Date 2022/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203082
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はじめに
頭部外傷とは,直接または間接的に外力が作用して,頭蓋内外の組織に器質的ないし機能的損傷が生じるものの総称である.損傷される組織は,頭部の軟部組織や頭蓋骨,髄膜,脳実質,脳神経,血管等すべてを含み,また頭部外傷後の合併症や後遺症等も含めて取り扱われる1).重症頭部外傷は,若年者が交通事故等の高エネルギー外傷によって引き起こされるイメージが強かったが,近年では転倒による高齢者の頭部外傷が増加傾向であり,局所性脳損傷の頻度が高くなっている2).頭部外傷は,受傷機転や病態,年齢層,経過等が多様であることが特徴である.症状も,運動機能障害に加え,多彩な高次脳機能障害を呈することが多いが,今回は頭部外傷の最近の傾向と背景を踏まえたうえで,病態や基礎知識は最小限に,また介入については運動器に着目した内容に絞る.
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