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特集 治療用設備・器具(よく使う治療器具,使わない器具)
脳性麻痺児の作業療法と治療用器具について
Occupational Therapy and Equipments for Children with Cerebral Ralsy
森田 早紀子
1
,
原 義晴
1
Sakiko MORITA
1
,
Yoshiharu HARA
1
1ボバース記念病院
1Bobath Hospital.
pp.304-311
発行日 1986年5月15日
Published Date 1986/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103557
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Ⅰ.はじめに
脳性麻痺の治療の変遷に伴って,作業療法における治療器具がどのように変わってきたかを考察してみると大きく3期に分けられる.Ⅰ期は年長児を対象とし,子供の意欲・モチベーションを利用して,目的運動を随意的に反復繰り返し訓練させる高木法に代表される克服訓練である25).Ⅱ期は神経生理学的治療の導入により,対象児は年少化し正常発達に沿った治療へと変っていった15,21,23).そして,Ⅲ期は神経発達学的治療の導入により13),脳性麻痺児の異常発達の知識と正常児の発達のメカニズムおよび協調運動の発達の知識を治療に応用している1618).
治療用器具の面からみると,Ⅱ期では握り離し,つまみ,手指分離,両手動作等の正常発達に沿った動作を発達させるものとして分類されていたが15,21,23),Ⅲ期では手指機能を阻害している問題点に着目し,器具の使い方により異常な姿勢・運動パターンを抑制し,より正常なパターンを促通することが課題となっている16-18).
知覚障害9,24)に関しては,1973年ヴァルガス・さだ子の論文27),フロスティッグ視知覚テストの紹介や1976年のエアーズの感覚統合講習会等により関心が深まり,その後理論や評価に関する本は,多数出版されているが,運動障害を基盤に持つ脳性麻痺児に応用するのは難しく,Ⅱ期ではBreretonらによる「脳性まひ児の学習基礎能力」4)で紹介されているような教材を主に利用していた.Ⅲ期では,脳性麻痺特有の運動障害の治療から知覚障害を分折し,より正常な知覚-運動学習のための治療及び器具が課題となっている.
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