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編集後記
香山 明美
pp.292
発行日 2022年3月15日
Published Date 2022/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202921
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新しい年を迎え,七草が過ぎ,暁粥を食べ,もうすぐ,豆まきがやってくる.筆者は旧家に嫁ぎ,このような昔から脈々と引き継がれる行事にまつわる食の部分を嫁として担ってきた.1月7日の七草には,せり,……すずな(かぶ),すずしろ(大根)と地物で揃え,まな板で叩いてお粥を炊いた.14日の夜は小豆を煮るところから始め,お粥(暁粥)にしていく.門松を近くの神社へ納めに行った後の夜中に,このお粥をいただき,15日を迎える.このような行事を,嫁に行ったころは何と古びた風習かと思いながらも,興味半分の気持ちもありながら,与えられた作業(お粥づくり)を行っていた.30数年経つ今は,この作業が自分の年中行事として染み込み,そのときになると自然なかたちで身体が動いている.嫁になったころには想像もできなかったが不思議なことである.
人の生活は,このようなその人の毎日の営みの連続で成り立っていると,つくづくと思う.その人の,日々の営みとその思いをいかに汲み取れるかが,生活支援をする際の勝負どころになる.
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