Japanese
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特集 高次脳機能障害児・者のライフステージに応じた作業療法
—高齢期—高齢期にある高次脳機能障害者に対する作業療法アプローチ
Occupational therapy for eldery person with higher brain dysfunction
繁野 玖美
1
,
筒井 順
1
,
福島 輝子
1
Kumi Shigeno
1
,
Jun Tsutsui
1
,
Teruko Fukushima
1
1ケアセンターふらっと
pp.1043-1046
発行日 2021年8月15日
Published Date 2021/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202667
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Key Questions
Q1:高齢期にある高次脳機能障害のある人に対してOTができることは何か?
Q2:「その人らしい」作業を見つけるために大切なことは何か?
Q3:地域の連携体制をつくるうえでOTに求められる役割とは?
はじめに
高齢期とは衰えの時期である.心身の健康,経済的基盤,人とのつながり等が少しずつ失われ,孤独や不安を感じることも多い.そこにはマイナスイメージが強い.
しかし,沈みゆく夕陽が美しいように,老いは人生の完成への総仕上げのときでもある.死を意識するからこそ,「よりよき人生」,「価値ある人生」を生きることができる.柏木1)は“老いはこれまでの人生の延長線上にあり,それをどう受け入れ,どう折り合いをつけ,いかにその人らしく生きるかが老いの質を決める”と述べている.
老いや障害によって,生きる希望が失われ,人生の目的を変更せざるを得ないこともある.その人らしく生き生きと生を全うするために,私たちOTができることは何なのだろうか.本稿では,ケアセンターふらっと(以下,ふらっと)で出会った3名の高次脳機能障害のある方の事例を基にその答えを探っていきたい.
なお,ふらっとは主に65歳未満の障害のある方を対象とした施設であるため,3名の方はいずれも60代の比較的若い世代の高齢者であることをおことわりしておく.
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