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編集後記
江藤 文夫
pp.1006
発行日 2021年7月20日
Published Date 2021/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202656
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脳卒中はリハビリテーション対象疾患の代表であり,多くのOTが日常的に罹病者の治療にかかわっている.特に障害の視点では,日常の活動実行と社会参加において大切な役割を担い,新たな生活拡大の支援を期待される.本誌では2014年の増刊号で『脳卒中の作業療法』を取り上げた.以来,今日までの短期間に診療報酬・介護報酬の改定があり,当時は2009年版が普及していた「脳卒中治療ガイドライン」は,全面改訂により2015年版が刊行され,2017年,2019年の追補があり,この7月に2021年版が発行となる.そこで,基本的には前回の枠組みを踏襲して,脳卒中の作業療法のアップデート版として本号が企画された.
脳卒中が死因第1位の疾患とされていた1980年ごろまでは,長期安静臥床が推奨され,「世界の常識,日本の非常識」と自嘲的に揶揄されていた.また,社会生活の予後に関しては悲観的に論じられることが多かった.しかし,高齢社会が確実に進展する時代に至り,介護保険制度が導入され,そこでは介護度増大への対応だけでなく,自立支援の取り組みが重視されたことで政策的にもリハビリテーション医療の充実が図られ,今や質・量的にも国際的に誇れる内容に発展してきた.救命と初期治療の急性期からかかわり,回復期の集中的リハビリテーション,社会生活での参加の支援と活動の充実,さらには晩年の生活支援のいずれにおいてもOTの役割は大である.
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