講座 子どものあやし方,褒め方,叱り方,励まし方・第3回
重症心身障害児・者の作業療法の現場で
松本 茂樹
1
Shigeki Matsumoto
1
1堺市立重症心身障害者(児)支援センター ベルデさかい
pp.458-462
発行日 2021年5月15日
Published Date 2021/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202501
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はじめに
図 1は今年,当施設に入職したOT(よしき氏)が描いてくれた子どものイラストである.彼は絵を描くことが好きで,そのこともOTを志した動機の一つになっている.大好きな幼稚園の先生に「絵が上手」と褒めてもらったことが,絵を描くことを好きになったきっかけである.その先生は彼の絵を褒めたことはもう覚えておられないかもしれない.でも,その出来事が,その後の彼の人生に大きな影響を与えた.
彼の描画の能力と,褒められた経験と,そして褒めてくれた人のことが大好きだったこと,幼児期にこれらが重なった結果,彼は絵を描くことが好きになり,物を創作することが好きになり,作業を提供するOTになった.
同様に,私たち自身の記憶にも残っていない,専門職としてのかかわりが子どもの人生に影響を与えることを自覚したい.岩﨑ら1)はOTを「子どもが持っている能力をその都度全開させてくれるセラピスト」と述べている.子どもの能力を全開にするOTの技術として今回のテーマを考える.
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