あなたにとって作業療法とは何ですか?・第77回
あなたにとって作業療法とは何ですか?
梶原 幸信
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1公益社団法人地域医療振興協会 伊東市民病院
pp.457
発行日 2021年5月15日
Published Date 2021/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202500
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全てに通じるエネルギー
私は出生時のアクシデントにより右上肢の感覚と可動域に障害があります.幼少時からまっすぐ走りにくい,箸が上手に持てない等の違和感がありました.剣道を習いはじめたとき,背中や後頭部での紐結び習得に苦労し,徐々に障害を自覚してきました.書道では筆圧調整が難しい,算盤の珠を感覚のない指ではじくのが難しい…….でも誰にも言えない.できない自分を認められない.あきらめなければならない活動もありました.それでも箸は左手に持ち替え克服? 算盤は感覚消失を目の代償で補い練習継続,剣道も自分が勝つ方法を求めて「左諸手上段」の構えで有名な先生のもとで修業できる高校を選択する等,貴重な経験ができました.
高校卒業時,鍼灸マッサージ師になりたい夢をもち,養成校受験を試みました.しかし,障害を理由に受験拒否,面接で入校拒否を宣言される等,そのまま目標を失い,浪人となりました.その後,作業療法士という役割を知り,経験が活かせる仕事と確信し,この道に進みました.作業療法と出会った私は,幼少期からの経験も含めて充実しています.作業療法は私にとってのエネルギーであり,全てです.
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