入門講座 病理
HE染色
畠山 茂
1
1東京医歯大医学部病理
pp.744
発行日 1967年10月15日
Published Date 1967/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917182
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ヘマトキシリン(Hematoxylin)は無色の植物性染料で酸化するとヘマテイン(Hematein)となり黄色調を呈する。酸化は空気中でも行なわれ(自然熟成),人工的熟成には種々の酸化剤(KMnO4,NaJO3など)が使用される。酸化しすぎると酸化ヘマテインとなり沈澱するので酸化剤の量はほぼ正確にせねばならない。たとえば1.0gのヘマトキシリンに対しKMnO4は177mg,NaJO3は197mgである。
ヘマテインは酸性色素であるが染色性を欠除し明礬や鉄などの重金属とキレート結合させアルミニウムや鉄ラックをつくることによって始めて染色性が得られる。この際結合した重金属は酸性溶液で強い正荷電を示すので核酸の燐酸基と結合し核クロマチンを強く染める。明礬ヘマトキシリンラックはpH3.0以上で青色化するので単に流水洗や薄いアルカリ液で処理すると鮮明で安定した青色がえられる(色出し操作)。
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